アルミ合金で強度アップ
私たちの暮らしの中で身近な金属というと、鉄やステンレス、アルミなどがあります。
これらの金属を強度別に並べると、強いものから順に鉄、ステンレス、アルミになります。
軽くて丈夫なことが魅力といわれるアルミですが、見た目や重量、加工のしやすさなどを全て無視して、とにかく強度だけを重視したいというのであれば、アルミではなく鉄の使用が適しています。
しかし、アルミも添加する成分によってはかなり強度をアップさせることができます。
アルミ合金の強度は、強い順に7000系合金(Al-Zn-Mg)、2000系合金(Al-Cu)、6000系合金(Al-Mg-Si)、5000系合金(Al-Mg)、3000系合金(Al-Mn)、純アルミとなります。
アルミニウム合金の種類はAA(アメリカ・アルミニウム協会)が定めた合金記号にのっとって4桁の数字で表されるのですが、もっとも強度が高いとされる7000系の合金では、7003や7204といった合金種が代表的となっています。
溶接の有無や強度の度合い、耐食性など、さまざまな条件にぴったりあったアルミ合金を選ぶことで鉄よりも使い勝手が良い、アルミならではの良さを生かした製品を作ることができるようになります。
注目のアルミリチウム合金
ところでさきにあげた強度の高いアルミ合金のほかに、最近はさらに8000系のアルミ合金が注目されています。
8000系のアルミ合金はLi(リチウム)を添加した「アルミリチウム合金」と呼ばれるものです。現在は宇宙飛行や航空宇宙分野で使用されることが多く、アメリカやイギリス、ロシアなどで生産されています。
アルミリチウム合金は、以前は破壊靭性(粘り強さ)が低いという点が弱点でしたが、近年では研究が進み、特殊な鋳造法を応用することで破壊靭性能を改善させることに成功しています。
こうした最先端のアルミリチウム合金は第3世代の合金と呼ばれています。
従来のアルミ合金よりもはるかに高い強度を誇るアルミリチウム合金ですが、従来の設備では高温化での溶解鋳造ができないなどの問題もまだ残されており、製造コストが高くなってしまうのが難点です。